アガリクスは一時はすごくもてはやされてきました。もう救世主のように。それがアガリクスについての書籍を販売者が薬事法違反で逮捕され、本中の体験談もでっち上げだということが判明し、アガリクスの名声はどんどん下降。かつては幻といわれたキノコ。低すぎる評価というのも悲しい物です。医薬品ではないものに治療を求めてはいけない、それが原則であって、アガリクスは今も昔も変わらないのです。
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アガリクスはハラタケ属のキノコの総称です。よくアガリクス茸というのを聞きますが、実際にはそんなものは存在しません。一般にアガリクス茸と呼ばれるものはアガリクス・ブラゼイ・ムリル(学名:Agaricus Blazei Murill)をさしています。和名ではカワリハラタケ、ヒメマツタケとも呼ばれます。
ブラジル原産のキノコで、日本に入ってきたのが1965年、人工栽培が可能になったのは1970年代半ばともう30年まえから国内にあったわけですが、現在のような大量栽培の方法が確立されたのは1990年に入ってからなのでまだまだ新しいキノコです。この大量生産が確立される前は幻のキノコとして珍重されていました。
アガリクスは生ではすぐに変色して日持ちしないため、乾燥させたり、錠剤化されるのが一般的です。
アガリクスで注目の物質といえばβ-グルカン(ベータグルカン)であるβ-D-グルカンです。
キノコといえばβ-グルカン。多糖ですから組み合わせは無数にありますので、キノコごとにさまざまなβ-グルカンがあるわけです。マイタケでも出てきましたよね。
現在のところ、このβ-D-グルカンが白血球の一種であるマクロファージを活性化、免疫応答などにかかわる生物活性因子であるサイトカインの分泌を促すと考えられています。
この作用から免疫力の向上が期待されています。しかし、人体においての報告は十分ではなく、個人的にはなぜあれほど話題になったのかと思ってしまいます。薬事法に違反した一業者のやりすぎた宣伝と書籍のせいなんでしょうか。
そんな薬事法違反による逮捕以外にもアガリクスの名声を地に落としたのが、アガリクスの発癌性に関する報告です。キリンウェルフーズが販売していたアガリクス関連製品「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒」に発癌を促進する恐れがあるとして厚生労働省が販売停止と回収を要請しました。発癌性ではなく、発ガン作用の促進で、動物実験の段階なのでそのまま人体にでも同様の危険性があるのかどうかは不明です。
この場合、問題になったのは1社のみで、他では確認されませんでした。これはキノコは同種であっても株によって成分が大きく変わるためです。植物でもよくある話ですね。危険性が株によって異なるということは逆によい成分の含有についても株によって異なるということです。製品は慎重に選んだほうがよさそうです。