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クエン酸:疲労回復-乳酸は疲労と無関係?

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クエン酸は疲労回復サプリメントの王道といえるのではないでしょうか。疲れたときにはすっぱいものをといわれるのと同じ理屈なので、クエン酸はかなり酸っぱいです。粉末を直接口に入れると、それはもう大変。

さてクエン酸。歴史は長いですけどどうも誤った解釈がされてるように思います。

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乳酸は疲労物質ではない

クエン酸の効き目に付いて、クエン酸回路を活性化させることで乳酸の代謝を向上させ、体内の乳酸を減少させると説明されることが多いのですが、これがおかしいのです。

乳酸はエネルギー源である糖を無酸素状態で分解したときに生じます。この反応を解糖といい嫌気(酸素が無い)条件化でATPなどのエネルギー源を作り出す方法で無酸素呼吸(嫌気呼吸)の1つです。なので、短距離走などを行うと筋肉中の乳酸濃度が上がります。これに対して好気条件化で糖を分解するのが有酸素呼吸(好気呼吸)です。

100メートル全力で走るとき人はほとんど呼吸をしません(短距離走者なら、中学生くらいでも無呼吸で走り抜けます)。このときの筋肉への疲労感は、100メートルを呼吸しながら歩いたときとはまったく異なります。

それは無酸素で乳酸が増えたのだから当然、、でしょうか?

それが正しければ、有酸素運動をしている限り体内に乳酸はたまらないことになってしまいます。しかし実際は長距離を歩くだけでも疲労しますし、乳酸もできます。有酸素運動でも乳酸がある程度はできてしまうからでしょうか?いえ、乳酸は運動開始後増えますが、運動を継続してもその後増えなくなり減少し始めます。運動が長時間になるほど疲労するので、これは乳酸量の動きと矛盾します。

2004年、科学雑誌のScienceに、乳酸は疲労回復の物質であるという論文が出されました。乳酸が分泌されると筋肉の動きがスムーズになるなどの報告もあります。また、乳酸を飲んで摂取すると血中乳酸値も上がりますが、もちろん疲労感は感じません。こんなので疲労を感じてたら乳酸飲料飲めませんよね。

そんなわけで、乳酸は疲労物質ではないというのが最近の見方です。

クエン酸で疲労回復

クエン酸で乳酸を減らしても意味が無い?そもそも、クエン酸を摂取すると乳酸値が下がるのは嘘?

いえいえ、そんなことは無いんです。クエン酸をとることで乳酸値が下がるという報告があります。これをもってして疲労物質が減るから疲労回復にいいんだと誤った解釈がされたのです。

乳酸は糖再生という過程を経て再びエネルギー源としても使われます。クエン酸は有酸素呼吸(好気呼吸)のクエン酸回路という反応の材料で、これを摂取することで、クエン酸回路が活性化され、代謝が上がり乳酸から糖に再生されるのが早まると考えられます。

さて、さっきから良く出るクエン酸回路についても説明しましょう

クエン酸回路とは

クエン酸回路は人間のエネルギー生成において重要な工程です。

体内では糖から呼吸によりアセチルCoAが作られます。そして、オキサロ酢酸とアセチルCoAが結びついてクエン酸が作られます。このクエン酸がクエン酸回路で次々分解されることでエネルギー源のATPやNADHなどが作られていきます。そしてクエン酸回路では最終的にオキサロ酢酸が作られ、再びクエン酸の材料となります。ぐるぐる続くので回路なのです。

クエン酸の本当の働き

クエン酸回路、これを理解していただければ気づいたかと思いますが、

「最初からクエン酸をとればいいのでは?」

まさにそのとおり。

クエン酸がエネルギー源なのでクエン酸をとれば手っ取り早いのです。そしてエネルギーが生まれる=疲れによい、というのがクエン酸に対する正しい理解です。

「エネルギー源ということは、エネルギーを摂取ということであって、疲労が直接が消えるわけではないんでは?」

はい、そうですね。実は、疲労を解消したという科学的データは無いんです。はい。
運動前に効率的にエネルギーを摂取しておくことで、疲れにくくなる、という理解が今のところ正しいです。

いまだに専門書などでも疲労物質である乳酸の減少をうたっていることも多いので辟易します。それがクエン酸の誤った摂取の原因になります。正しい理解のもとで摂取しましょうね。

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