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免疫ミルク:抗体が健康を守る。温度に注意

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免疫ミルク、一般的にはあまり目にする機会はありませんね。食品スーパーでは通常見ることはありません。

探せば結構見つかるのですが、小さな子供を持たない人が授乳用のミルクを目にしないように、気にしない人は気づかないものです。

免疫ミルク、そのいかにもと思えるネーミングがちょっと怪しく感じてしまいますが、それほど目新しいものではなく、結構昔からあるんです。そして何十年も研究されているんです。

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免疫ミルクとは

免疫ミルク、主原料は牛乳です。

でも、牛乳に何か添加して作るわけではありません。

牛にワクチンを投与して、抗体をつくらせ、この抗体を含んだ牛乳が原料です。

まずワクチンから解説しましょう。

予防接種でよく聞くワクチン。これは病原菌や病原性のウィルスを注射されても病気にはならない程度に毒性を薄めたり、熱などにより殺菌して無毒化したものです。

このワクチンが体内に注射されると体は、”病原菌が入ってきた!”と病原菌を攻撃するための武器、抗体を作ります。

病原菌・ウィルスが抗原、これに対抗するのが抗体で、これを抗原抗体反応といいます。

抗体は一度作られると体がその情報を覚えており、再び同じ病原体が入ってきてもすぐに抗体を作れます。なので体内に病原体が入っても、体内で繁殖する前に抗体で退治されてしまうため、同じ病気にはかかりにくくなります。

病気にかかると、次回は病気にかかりにくくなることをよく”免疫ができる”といいますね。

この免疫ができるの作業を牛にやってもらおうというわけです。

ワクチンを投与された牛は抗体を作ります。抗体は血液中に放出されます。

血液が乳房まで来ると、乳房内の乳腺細胞が血液から栄養分を取り込み牛乳の原料とします。

このとき、血液中の抗体も取り込まれるため、牛乳にも抗体が含まれます。

なので免疫ミルクを飲むと体内で抗体が作られていなくても、口から抗体を摂取できるというわけです。

一般的に言われる「免疫ミルク」は26種類ほどのワクチンを投与して作られています。

ちなみに、免疫牛乳とは言いません。

免疫ミルクは、抗体を含んだ牛乳を精製して、赤ちゃん用のミルクのような粉にします。日本では法律で、このように加工したものを牛乳と呼んではいけないことになっており、「ミルク」と呼ぶわけです。

なぜわざわざ加工するのか?

普通の牛乳は成分こそ手を加えませんが、加熱殺菌などの処理が施されます。

しかし抗体はタンパク質でできているので、60℃程度の温度でも壊れてしまいます。

抗体を壊すことなく、それでいて安全に飲めるよう特別な加工を施したもの、それが免疫ミルクです。

抗体を口から摂取して意味あるの?発想は初乳から

「抗体を経口摂取して意味があるの?」
と疑問が浮かびます。でも意味はあります。

免疫ミルクの発想は母乳から来ています。

生まれたばかりの赤ちゃんは抗体を持たないので本来は病気にかかりやすいです。

しかし母乳、とくに初乳(母乳のうち産後3日程度まで作られるもの)に抗体が豊富に含まれており、母乳から抗体を摂取することで体を守っています。

免疫ミルクも母乳のように、口から抗体を摂取することで体を守ろうという発想です。

初乳の効果が切れてくると赤ちゃんも病気にかかりやすくなってきます(体力がついてくるので、ここからは自分で抗体を作り強い体を作る時期に入ります)。

そして、母乳から完全に卒業すると、自分の抗体だけで体を守ります。

母乳と同じく、免疫ミルクも、意味があるのは飲んでいる間だけです。

飲むのをやめれば元通りです。

免疫ミルクの働き

免疫ミルクには26種類程度のワクチンにより作り出された抗体が含まれており、
免疫ミルクの働き=含まれる抗体の働き
です。

与えるワクチンによって抗体も異なるので、免疫ミルクは製品によって働きが変わることになりますが、メーカーが限られているので、事実上選択できるほど多くの製品はありません。

抗体が戦ってくれるわけですから、外部からの病原体から体を守るのによいと考えられます。

そのほか、免疫ミルクは免疫系の問題によいといわれており、リウマチ、アトピー、アレルギー、喘息といった自己免疫の問題で悩んでいる方によいと考えられています。

自己免疫疾患は自分の抗体が産出されすぎたりすることで、不要なところまで攻撃してしまい起こる問題です。これに対して、なぜ抗体を経口摂取することがよいのか、正確にはまだ説明できていません。

炎症に良い成分が含まれている、腸内環境を助けること、がこれらに寄与しているのではと考えられています。

まず炎症について。ワクチンを投与された牛は体内で抗原抗体反応が起こります。このとき炎症物質も作られます。炎症は体の防御機構で、炎症物質は炎症を発生させるものです。

しかし強すぎる炎症は体にとって害になります(例:つらい鼻炎や目のかゆみ、湿疹)。そのため炎症を抑える抗炎症物質が作られます。

免疫ミルクにはこの抗炎症物質が含まれるため、炎症により起こる問題、関節炎やリウマチの痛みで困る人のサポートに有用なのではと考えられています。

初乳を飲むと関節炎の痛みがやわらぐ、という民間療法が言い伝えられており、免疫ミルクの開発動機のひとつであったそうです。

2つ目の腸内環境ですが、マウスの実験で免疫ミルクを摂取したマウスで、腸内の悪玉菌が減少したという報告があります。

これにより腸内環境が改善する可能性が示唆されています。

腸内環境の悪化は、免疫の過剰による花粉症などのアレルギー疾患にかかわるとされています。そのため腸内環境の正常化はアレルギー性の問題を抱える人によいと考えられています。

さらに免疫ミルクには、牛乳でお腹がごろごろする原因となる乳糖、腸に負担をかける脂肪分を少なくしているもあり、お腹に優しい飲み物に加工されている物もあります。

さて、1点、注意が必要なのは飲む温度です。

免疫ミルクはスキムミルクのような粉末になっています。これを溶かして飲むわけですが、熱いお湯を注ぐと抗体が壊れてしまいます。

水かぬるま湯に溶かしましょう。40℃程度ならまず大丈夫です。

ホットミルクで飲んでたから、全部無駄だった・・なんてオチがないように。

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