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レスベラトロール:寿命遺伝子はウソ・ホント?

レスベラトロールは話題沸騰ですね。NHKまで取り上げちゃったからしょうがないでしょう。

また、いままで”年齢の気になる方に”といわれていた成分と働き方が違って、直接的なのも人気が高い理由ではないでしょうか。

そう、この働きかたが違うところが大事なんです、が、この年齢への働きを否定する研究結果も。またカロリー制限がいいといわれますが、腹八分で寿命が延びるは間違いです。

結局いいのか悪いのか、そしてカロリー制限の程度は?そのあたりも含めて解説。

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レスベラトロールとは

レスベラトールといわれることもありますが、英語表記はresveratrolなので、レスベラトロールのほうが正しいでしょう。

発見したのは日本人。1939年、現在の北海道大学(当時の北海道帝国大学)高岡道夫によってバイケイソウという植物から見つけられました。しかしこのときは寿命との関連性は発見されていません。

そして時は流れて2006年。ハーバード大学のシンクレア博士らの研究グループが、レスベラトロールがマウスの寿命を延長させることを科学論文雑誌Natureで発表しました。それまでも酵母、線虫、ハエ、魚類でレスベラトロールによる寿命の延長が報告されていましたが、哺乳類であるマウスでの報告は2006年が初です。

そしてマウスで確認されたということは同じ哺乳類であるヒトでも寿命延長ができる可能性が高いと考えられ、そこで一躍注目の的となりました。

この寿命の延長はレスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化することに起因しています。

今までのアンチエイジングといえば、抗酸化力によりDNAやタンパク質が傷つくのを防ぐというものでした。いわば外部の悪影響が体に届きにくくするものでした。

しかしレスベラトロールはサーチュイン遺伝子を活性化することにより、自分の体内にある防護機構を働かせるものです。

レスベラトロールの働きとサーチュイン遺伝子

上述の通り、レスベラトロールはサーチュイン遺伝子を活性化することに期待がもたれています。レスベラトロールが直接老化防止にかかわるものではありません。サーチュイン遺伝子が大事とされています。

サーチュイン遺伝子が働くことで老化に伴う不調が軽減されることは実はかなり以前から知られていました。

この遺伝子はまず酵母で発見されました(Sir2遺伝子)。その後同様の遺伝子が哺乳類でも見つかりました(SIRT1遺伝子)。

サーチュイン遺伝子が働くとサーチュインファミリーの複数のタンパク質(サーチュインタンパク)が作られます。そしてこのタンパク質が100近くある老化の要因が抑えられることが報告されています。

サーチュイン遺伝子が働くのは、飢餓状態などのかなり強い環境ストレスがかかったときです。マウスやアカゲザルを使った動物実験では食事制限により普段から飢餓状態の個体は十分な食物を与えられた個体より若々しく、長生きするものが多いことが知られていました。これは飢餓状態によりサーチュイン遺伝子が活性化されたためだと考えられてきました(飢餓です。腹八分じゃ食べすぎです。詳しくは後述)。

これと同じことがヒトでも起こるだろうと考えられていますが、2011年現在ではまだ調査中で、人間でも同じといえるかは定かではありません。

ただし哺乳動物の実験でサーチュイン遺伝子の活性化が寿命を延長させることがわっているので、ヒトでもかなりの確立で期待できるといわれてきました。

ちなみに、アメリカではかなり厳しい食事制限をしている団体があります。

この団体を調査したところ、血管年齢が若く保たれていることがわかりました。寿命の延長まで実現されるか否か、2011年時点ではまだ調査・研究が継続されています。

たとえ飢餓状態による寿命延長がヒトでも有効であったとしても、普通の人が飢餓状態を保つのは難しい。サーチュイン遺伝子を活性化させる物質はないだろうかと、片っ端からさまざまな物質を試していた結果、レスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化させることがわかりました。

また、レスベラトロールを摂取したヒトで、脳の前頭葉の血流の増加が確認されたことから、脳機能にもよいのではないかとされています。

サーチュインに寿命延長効果はない?

2011年9月、科学論文誌Natureに「サーチュインに寿命延長効果はない」とする研究結果が掲載されました。今までの研究結果を覆すものです。

ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ健康加齢研究所(Institute of Healthy Ageing)のデービッド・ジェムズ(David Gems)の研究チームは過去の実験には手法に不備があることを指摘しました。またサーチュイン関連の研究をしてきたレオナード・ガランテ(Leonard Guarante)は過去の実験に不備があったことを認めています。

そして、同研究ではハエの寿命が延長された実験では、サーチュイン以外の遺伝子の要因であると指摘されています。

さらに、衝撃的なことにレスベラトロールがサーチュイン遺伝子を活性化することもないと報告しています。研究チームが複数の手法で調べたところ、レスベラトロールではサーチュイン遺伝子は活性化されなかったそうです。

デービッド・ジェムズの研究報告が確かなら、サーチュインに寿命延長の役割はなく、さらにレスベラトロールにサーチュイン活性の働きはないと言うことになります。

ただ、この報告一つが正しくて、今までのは全て誤りだった、となるかこれだけではわかりません。今後の研究報告を待ちましょう。

でも、そんなにがっかりすることはないですよ。まだ続きがあります。

寿命延長はできるの?できないの?

結局、サーチュインは寿命延長に関わらないのか?といえばそうでもありません。

サーチュイン自体は寿命延長をしてくれるわけではないかもしれませんが、サーチュインの活性化が高脂肪の食事、加齢に関わる疾病に有用であることは確認されています。

スイス連邦工科大学ローザンヌ校のカーレス・カント(Carles Canto)はデービッド・ジェムズの報告に賛同しながらも、”サーチュインの活性化は健康上大きな利点がある可能性があり、加齢による衰えを遅くしてくれる。”としています。

直接寿命を延ばすものではないかもしれないが、それでも加齢関連疾病やカロリーの過剰摂取に対してサーチュインの活性化は役立つものであることを指示するものです。

まぁ、それは今まで散々報告されていることですからね。すべてがひっくり返ることはないでしょう。

またサーチュインの寿命延長を否定したデービッド・ジェムズも「食事制限による寿命延長、これ自体は疑いない」としています。

レスベラトロールの働きが確かであった場合、抗酸化系サプリとは働き方が異なるわけなので、気になる方は両方利用してもよいかと思います。

お金のない私は食事制限・・・かぁ

冒頭にも書きましたが、食事制限は腹八分じゃないです。もっと厳しいです。アカゲザルの実験では、通常の餌より30%カロリーを減らされています。最低でも腹7分ということです。満足いく食事をしてたらだめなんです。

ただ、カロリー制限をした人のなかには、必要栄養まで不足して骨密度が下がるなど健康上の問題を引き起こしてしまったケースもあります。食事制限は慎重に。

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