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白インゲン:ダイエット・成分と仕組み

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以前テレビで白インゲンを使ったダイエットが放送された後、それを実行して嘔吐、下痢を起こした人がのべ650人も発生したというニュースを聞いたときは驚きましたね。

のべとはいえ体調を崩した人が650人、ということは体調を崩さなかった人を含めるといったい何人が実行していたんでしょうか。放送直後でこれですからね。

この放送局では10数人で10日以上検証しても体調異常を起こす人はいなかったそうで、火の通しが甘い生のインゲン豆を食べちゃったんじゃないの?というコメントでした。なるほど。生の豆を食べれば体調を崩しそうです。 何でもかんでも生のサラダで食べるようになった昨今でも、なぜ生の豆は食べないのでしょう?というか食べられないのでしょうか。また、調理の手間がかかる面倒な食材がピックアップされたのでしょうか?

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白インゲンの毒性

まず、毒性のことから解説していきましょう。

白インゲンが持つ毒はレクチンという物質です。医学・生物系の研究をしている方にはマーカーとしておなじみの物質なんですが、普通に生活してたら一生耳にすることは無いかもしれません。レクチンは糖結合タンパク質といわれる物質で糖とタンパク質が結合した物質です。白インゲンまめに含まれるレクチンは赤血球凝集素(haemagglutinin)と呼ばれる類のもので、赤血球と赤血球を凝集させるかなり怖い毒性を持ちます。そしてこれを摂取すると嘔吐、下痢などの症状を引き起こします。重症になることは無く数時間で回復はするそうですが。

しかし、インゲン豆なんて昔から食べてきてるなじみのある食べ物なのに?と思いますよね。よく思い出してみるとインゲン豆は乾燥させたものを水で戻して、茹でて食してきたと思います。レクチンは加熱することで熱変性を起こすので、毒性を失うのです。

厚生労働省の報告によると75度では毒性を失わなかったそうなので、軽い加熱では危険ですね。茹でる場合は熱を通すのは簡単ですが、煎る場合にはかなり注意が必要です。

白インゲンの成分、ファセオラミンとは

さて、調理に注意が必要なインゲン豆。話題になった原因は"ファセオラミン(Phaseolamin)"。名前の由来はインゲンの学名(Phaseolus vulgaris)。アメリカのPharmachem Laboratories社が名づけて販売し始めたのが始まりのそうです。このファセオラミンは、タンパク質の一種、α-アミラーゼの阻害剤として働くようです。

α-アミラーゼは消化酵素の一つでデンプンの分解(詳しくはデンプン中のアミロース、アミロペクチンの分解)行っています。ファセオラミンはこのα-アミラーゼの働きを阻害します。人は炭水化物を最終的には単糖類にまで分解して吸収するのですが、α-アミラーゼの働きを止められるとデンプン中のアミロース、アミロペクチンを単糖類にできなくなるため吸収されなくなってしまいます。

その働きに目をつけ、炭水化物とこのファセオラミンを一緒にとれば炭水化物が吸収されないのでは、となったわけですね。

*2004年のFDA(アメリカ食品医薬品局)のWarning letter(注意勧告文書)にはこのファセオラミンも含まれており、働きを疑問視する声もあります。

またこのファセオラミン、タンパク質なので熱に弱いです。。。。。

なるほど。熱に弱いことも放送したから、加熱不足で体調を崩した人が続出したわけですね。

熱に弱いのに加熱が必要。私なら、そんなリスク犯してまでは作りませんね。

試すなら、加工済み白インゲンがあるのでそちらを買うか、ファセオラミンサプリを試してみるほうがいいですね。

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