豆腐は昔はローカロリー、高たんぱく食品として人気が出て、つぎは大豆イソフラボンでまたまた人気上昇。おかげで巷にはどんどん新しい豆腐が並んび、こだわり商品も増えておいしい豆腐も簡単に見つけられるようになってきました。豆腐好きにとってはいい時代になりました。
そんな豆腐人気の立役者イソフラボン、摂取の上限が予想以上に低いところに決められてちょっと問題にもなりましたね。そのときのテレビで、"体にいいというからたくさん食べるようにしたのに今度はとりすぎちゃだめだって言われても困る"なんて見当違いの発言してる人がいてショッキングでした。何だって適量というものがありますし、バランスが大切なのは当然ですね。
しかし、そこまでして積極的にとってるのに何も変化が現れない方もいるはずです。それはイソフラボンの構造と体内での動きに秘密があります。
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イソフラボンはプエラリアミリフィカでも紹介しました。イソフラボンとはポリフェノールの一種です。ポリフェノールとはフェノール性の物質(ベンゼン環などにヒドロキシル基が結合したもの)を複数持つ植物由来成分のことで、数千種あるそうです。複数(=ポリ)のフェノールでポリフェノール、そのままですね。ポリフェノールで騒がれた時代もありました。
また、大豆イソフラボン自体は単体の名前ではなくゲニステイン、ダイゼニン、グリシテインなど複数の物質の総称なのです。
イソフラボンの注目すべきはポリフェノールか否かではなくて、女性ホルモンであるエストロゲンに近いはたらきをしてくれることにあります。
そんなわけで、女性ホルモンの不足から来る不調や女性らしい体作りに良いとされたのですが、ここでちょっと残念なお知らせがあります。
大豆イソフラボンの有用成分はゲニステイン、ダイゼニン、グリシテインです。これは正確には大豆イソフラボンアグリコンと呼ばれます。アグリコンとは糖と結びついていない、非配糖体のアグリコン型であるということを意味します。
通常、イソフラボンは糖と結びついたイソフラボン配糖体として存在しています。これをグリコシド型と呼びます。
そして大豆イソフラボンもまた、通常は大豆イソフラボンアグリコンと糖が結びついた、グリコシド型で存在しています。
しかし体内で女性ホルモン用の物質として働くためには、ゲニステイン、ダイゼニン、グリシテインというアグリコン型である必要があり、グリコシド型のイソフラボンを摂取した場合、体内で糖とアグリコンに分解されなければならず吸収効率が落ちます。
この、グリコシド型からアグリコン型への分解は腸内細菌が行っています。そのため分解効率は人により大きく異なり、グリコシド型の大豆イソフラボンをいくら摂取してもほぼ意味がない人もいます。
食品安全委員会が定めたイソフラボン摂取量の上限30mgとはアグリコン型の場合です。これは、うまく分解できる人の場合のグリコシド型換算で約50mgほどです。
では大豆イソフラボンアグリコンのサプリを選ぶか大豆イソフラボンをその分大量に取ればそれですむのか? いえ、それでもまだ十分じゃないんです。
イソフラボンが体内でエコールに作り変えられると、女性ホルモン様物質としての働きがぐんと高くなります。
このエコール、グリコシド型の大豆イソフラボンのなかでもダイゼニンから作られます。ダイゼニンのままでも女性ホルモン様物質として働きますがこれがエコールになるとその働きは100倍近くなると考えられています。ダイゼニン自体はゲニステインより弱いのですがエコールになればその立場は逆転してしまいます。
それならどんどんエコールにしたくなるのですが、このエコールは腸内細菌がダイゼニンから作っています。この腸内細菌は残念ながら誰にでもいるわけではありません。
なので同じ量の大豆イソフラボンを摂取しても、人によりその働き方には大きく違いが出ます。
ただ、大豆食品を積極的に摂取するとこの細菌が増えたという報告もりました。
細菌を増やせるかどうかはまだはっきりとはしませんが、腸内環境が悪くなるとせっかく菌を持っていてもはたらきが悪くなりますから、まずはおなかの調子も整えておくといいでしょう。